キノコを食べる頻度と軽度認知障害との関係を調べた研究

2019年4月15日

認知症の発症には、食生活や運動習慣などが密接に関わっていると言われます。もし、発症予防に効果的な食事が明らかになれば、誰もが手軽に日常生活の中で認知症予防を行うことができます。

今回は「キノコ」と軽度認知障害との関係について調べた研究をご紹介します。

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認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. キノコを頻繁に食べる人には軽度認知障害の割合が少ない
  2. いろんなキノコを取り入れて美味しく認知症予防を

キノコを頻繁に食べる人には軽度認知障害の割合が少ない

日本人に最もなじみのあるキノコと言えばシイタケでしょう。そのまま調理しても美味しいですが、うまみ成分を多く含むため、出汁を取るためにも利用されます。シイタケは日本だけでなく、アジアや遠くヨーロッパでも「Shiitake」という名前で知られ、和食以外にも様々な料理に広く使われています。

シイタケ以外にも、一般的にキノコは低カロリーで繊維質やビタミン類などの栄養素を多く含むことから、健康的な食べ物として知られています。また、キノコに含まれる成分には免疫力を高める効果があるといわれ、健康維持、病気予防のためにも積極的にとりたい食物のひとつです。この度、シンガポール国立大学の研究チームは、キノコを食べる頻度と認知機能との関係を調べた論文をJournal of Alzheimer’s Diseaseに発表しました。

調査したのはシンガポールでよく食べられている以下のキノコです。エノキ茸、ヒラタケ、シイタケ、ホワイトマッシュルーム、乾燥キノコ、缶詰のマッシュルーム。認知症の症状のない60歳以上の被験者663人に、どれくらいの頻度でこれらのキノコを食べているかについて聞き取り調査を行いました。また同時に認知能力テストを行ったところ、軽度認知障害と診断された人が90人、認知機能に問題がない人は573人でした。

キノコを食べる頻度と認知機能の関係とを調べたところ、軽度認知障害と診断された人ではキノコを食べる頻度が少ない傾向があることがわかりました。週に1度もキノコを食べない人で、かつ軽度認知障害である人の割合を1とすると、週に2食以上キノコを食べている人で軽度認知障害の人の割合は0.43でした。性別や年齢、学歴や喫煙習慣などの要素を考慮にいれて解析を行っても、この傾向は変わらず、キノコを食べる習慣のある人は、ない人よりも軽度認知障害である割合が低い傾向があることがわかりました。さらに、キノコを食べる頻度が高ければ高いほど、その割合が減る傾向があることもわかりました。

本研究は横断的に行った調査のため、キノコを食べることと認知機能障害との因果関係を明らかにすることはできません。今後は、キノコを含む食生活が認知機能にどのような影響を与えるのかを調べるために、より詳細な研究が行われることを期待します。

いろんなキノコを取り入れて美味しく認知症予防を

東北大学のチームが中心になって行った「大崎コホート」という、宮城県大崎市に住む高齢者約1万人を対象にした大規模調査でも、キノコを食べる頻度が高い人ほど認知症発症のリスクが低い傾向が見られたそうです。もちろんキノコだけを食べていればよいというわけではなく、様々な食材をバランスよくとることによって、それぞれの食材が持つ栄養素の機能が発揮されることは言うまでもありません。

そうは言っても、キノコが苦手で食べる機会が少ないという方もおられるでしょう。シイタケ以外にも、マイタケやシメジ、また西洋マッシュルームなど、キノコにはいろいろな種類があります。和食に利用する以外にも、ニンニクとオリーブオイルで炒めるなど、西洋風の料理にもよく合います。将来の認知症予防と考えて調理法を工夫しながら、ぜひキノコを食生活に取り入れてみてください。

▼ご紹介した論文
The Association between Mushroom Consumption and Mild Cognitive Impairment: A Community-Based Cross-Sectional Study in Singapore.
Lei Feng et al. Journal of Alzheimer’s Disease 68 (2019) 197–203 DOI 10.3233/JAD-180959


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