禁煙期間が長くなるほど認知症発症リスクは下がる

2018年10月10日

レストランや公共の場では禁煙や分煙が当たり前になり、またタバコ自体の値上がりが続くこともあって、愛煙家には厳しい世の中になりつつあります。ただ、過度な喫煙習慣が体に及ぼす影響は少ないとは言えず、健康維持の側面からも禁煙が推奨されています。
今回は、禁煙と認知症発症リスクとの関係について調べた研究をご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっとACADEMICS
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 禁煙すると認知症発症リスクが低くなる
  2. 禁煙は今からでも遅くない

禁煙すると認知症発症リスクが低くなる

認知症発症リスクを高める要因の一つが喫煙習慣です。健康を意識してそろそろ禁煙しようか、と考えている方にご紹介したいのが、韓国のソウル国立大学の研究グループが行った調査研究です。

調査は、2002年から2013年まで行われた国の健康調査をもとに行われました。対象となったのは60歳以上の男性46140人です。韓国ではタバコを吸う女性の割合が非常に低いとのことで、今回の調査は男性のみを対象としています。

対象者は調査開始時に、喫煙習慣について回答しました。回答は「喫煙者である」「禁煙して4年以下」「禁煙して4年以上」「タバコを吸ったことがない」の4つです。第一回目の調査から約2年後に、第二次調査を行いました。その後、平均して約7年後に認知機能についての調査を行いました。

その結果、調査期間中に認知症と診断されたのは1644人でした。禁煙の期間と認知症発症との関係を調べたところ、喫煙している人が認知症になる割合を1とすると、禁煙して4年以下の人では0.87、禁煙して4年以上では0.86、非喫煙者では0.81でした。この結果から、喫煙習慣のある人よりも、禁煙している人のほうが認知症発症リスクは低くなることがわかります。

さらに、喫煙者がアルツハイマー型認知症になる割合を1とすると、禁煙して4年以下の人では0.92、禁煙して4年以上では0.85、非喫煙者では0.82となっており、4年以上にわたって禁煙している人はタバコを全く吸ったことがない人と同程度に、アルツハイマー型認知症発症のリスクが抑えられることがわかりました。

禁煙は今からでも遅くない

タバコを吸うと心臓や血管に大きな負担がかかります。タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、血液の成分である赤血球のヘモグロビンと結合します。本来ならばヘモグロビンは酸素と結合して、体のさまざまな臓器に酸素を運びます。しかし、ヘモグロビンに一酸化炭素が先に結合してしまうと、酸素は結合することができず、結果的に体内の酸素が不足します。

そのため、喫煙習慣がある人では酸素運搬を増やそうと赤血球が増える傾向にあります。その結果、血液の成分が濃くなり粘性が高まるため「血液がドロドロ」になり、血流が悪くなります。喫煙者のほうが、動脈硬化や脳卒中などを起こしやすくなるのはそのためです。また脳は大量の酸素を必要とする臓器ですから、タバコの影響が脳に現れても不思議ではありません。

認知症の中でも「脳血管性認知症」は、脳内の血管が詰まることで起こります。今回の調査では、喫煙者が脳血管性認知症になる割合を1とすると、禁煙して4年以下の人では0.81、禁煙して4年以上では0.68、非喫煙者では0.71となっており、禁煙の効果が特に大きいことがわかりました。

たとえ長く喫煙習慣があったとしても、禁煙による健康への効果は期待できます。最近体調がすぐれないという方は、ぜひ今日からでもご自身の喫煙習慣について見なおしてみましょう。

▼ご紹介した論文
Effect of smoking cessation on the risk of dementia: a longitudinal study
Daein Choi et al. First published: 05 September 2018
Annals of Clinical and Translational Neurology


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