認知症予防には定期的な運動を

2017年11月27日

皆さんのご趣味はなんでしょうか? 読書や映画鑑賞、旅行やスポーツなど、ふだんの忙しい生活からちょっと離れて、自分を解放する時間を作ることは、健康のためにも大切です。
今回は、余暇に行う運動と、認知症発症リスクとの関係を調べた研究をご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 負荷の大きい運動のほうが、認知症発症予防に効果的
  2. 運動で週に消費するエネルギーが500キロカロリー増えるごとに、発症リスクは10%減る
  3. 毎日プラス10分の運動を

負荷の大きい運動のほうが、認知症発症予防に効果的

中国海洋大学と青島大学のグループは、運動と認知症発症リスクとの関連を調べた論文のメタ解析を行い、2017年に発表しました。メタ解析とは、すでに発表された論文や研究結果の中から、同じ目的で行われた研究を複数探し出し、条件をそろえた上で結果を統合して、より多くのサンプル数を解析するというものです。今回は、3つの論文データベースに含まれる1995年から2016年までに発表されたものの中から、スイミングやジョギング、ウォーキングなどといったありとあらゆるスポーツと、認知症やアルツハイマー病との関連を調べた研究を検索して、該当する論文を抽出しました。

基準を満たした15本の論文を統合すると、サンプル人数は37436人(85%が65歳以上)でした。まず運動のレベルと発症リスクとの関連を調べた結果、負荷が大きい運動を行っている人のほうが、負荷の小さい運動を行っている人よりも、認知症発症のリスクは低くなることがわかりました。

運動で週に消費するエネルギーが500キロカロリー増えるごとに、発症リスクは10%減る

次に、運動の程度と発症リスクとの関係を調べました。アルツハイマー病を含む全ての種類の認知症発症との関連を調べた論文は4つあり、サンプル人数は約1万人でした(認知症患者9149人、健常者1026人)。また、アルツハイマー型認知症だけに対象を絞った論文は4つありました(患者9144人、健常者692)。

運動で消費するカロリーと、認知症発症リスクとの関係を調べたところ、1週間に行う運動が多ければ多いほど、発症リスクは低くなるという結果が出ました。詳細な解析の結果から、週に行う運動が500キロカロリー増えるほど、アルツハイマー型認知症発症のリスクは13%、全ての種類の認知症のリスクは10%減ることが明らかになりました。以上の結果から、運動習慣は認知症発症リスクを効果的に下げる可能性が示されました。

毎日プラス10分の運動を

運動習慣は認知症だけではなく、糖尿病や高血圧など、他の病気の発症リスクを下げる効果も期待できます。 厚生労働省は「健康日本21 」として、誰もが健康で過ごすための基本方針を掲げています。その中で運動の基準 を「メッツ 」(MET:metabolic equivalent 体を動かすことで消費するエネルギーの目安)という単位を使って示しています。35の研究をメタ解析した結果から、18歳から64歳の人は「3メッツ以上の運動を毎週4メッツ・時」行うことで、生活習慣病や生活機能の低下リスクを減らすことができるとしています。これは「息がはずむ程度の運動を毎週60分行う」ことに相当します。これくらい行うことで、運動習慣のない人よりも、生活習慣病や生活機能の低下リスクを12パーセント減らすことができるとしています。

目標としてはまず、「毎日プラス10分 」長く歩くことを目指そう、と提案しています。ぜひ、これからの健康づくりの目安にしてみてください。

▼ご紹介した論文
Leisure time physical activity and dementia risk: a dose-response meta-analysis of prospective studies Wei Xu et al. BMJ Open. 2017; 7(10): e014706.

▼参照文献
厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」について
“+10 min of Physical Activity per Day”: Japan Is Looking for Efficient but Feasible Recommendations for Its Population.
Miyachi M et al., J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2015;61 Suppl:S7-9. doi: 10.3177/jnsv.61.S7.

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