脳の細菌とアルツハイマーの関連性:口腔ケアで予防?

2017年8月28日

みなさんしっかり「口腔ケア」していますか? 毎日のハミガキの他にも、定期的に虫歯や歯周病のチェックもしておられるでしょうか? 「朝昼晩、欠かさず歯を磨いているよ」という方もいれば、「そういえば長い間、歯医者に行っていない」という方もおられるのでは? 最新の研究によると、口腔ケアは認知症の予防にも関ってくるようです。

今回は、「アルツハイマー病」と「細菌」について調べた論文をご紹介しながら、口腔ケアと認知症の関係を見ていきます。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. アルツハイマーと細菌の関係
  2. アルツハイマー病の患者さんの脳には細菌が多い!?
  3. 炎症を起こす可能性のある細菌とは?
  4. 口腔ケアと認知症発症の深い関係

アルツハイマーと細菌の関係

アルツハイマー病の患者さんの脳には細菌が多い!?

イギリスのEmery博士らは、アルツハイマー病患者さんの脳には、健康な方の脳よりも多くの細菌が住みついていることを発見し、2017年論文として発表しました。

アルツハイマー病の患者さんの脳には「アミロイドβ」というタンパク質が過剰に蓄積していることが知られています。しかし、この蓄積は必ずしも認知障害を招くわけではないことから、その他にも神経細胞を壊す要因が重なって認知障害が起こると考えられています。
特にアルツハイマー病のごく初期には、神経細胞に「炎症」が起こることがわかっています。炎症を引き起こす原因の一つが、細菌やウイルスなどです。博士らは、生前アルツハイマー病を患っていた方の脳の組織片から遺伝子を得て、どのような細菌がどれくらいいるかを調べ、健康な方の脳の組織片から得た結果と比較しました。

組織片から抽出した遺伝子の中に、細菌の遺伝子がどれくらいあるかを調べたところ、アルツハイマー病の方の脳には、健康な方の脳の5倍から10倍の数の細菌がいることがわかりました。

炎症を起こす可能性のある細菌とは?

どのような種類の細菌がいるかを詳細に解析したところ、アルツハイマー病の方の脳に特異的に増えている細菌がいくつか見つかりました。

たとえば「アクチノバクテリア」は、今回調べたほとんどのアルツハイマー病患者さんの脳で増殖していました。これは健康な方では見られない傾向でした。この細菌の一種である「アクネ菌(P. acne)」はニキビの原因としても知られるとおり、人の皮膚や口の中にいる菌で、ある条件が整うと急激に増殖してしまいます。

近年、アクネ菌を含むこの種類の菌がふだんから脳に住みついていることが明らかにされており、なんらかの条件で急激に増えて他の細菌とのバランスが崩れると、神経細胞に炎症を起こす可能性があると考えられています。

口腔ケアと認知症発症の深い関係

アクネ菌は健康な人の口の中にも住みついている菌です。毎日きちんと口腔ケアをしていれば細菌の数は一定に保たれ、急激に増加してしまうことはありません。しかし、感染症にかかって体の免疫機能が低下していたり、ハミガキが不十分で口の中が非衛生的になったりすると、菌が繁殖しやすくなると考えられます。

最近の研究によれば、口内の衛生状態の悪さや虫歯があることで、認知症の発症リスクが上がると言われています。また、アルツハイマー病の患者さんの口内には、健康な方に比べて、7倍もの歯周病の原因菌がいることが報告されています。これらの結果から、一見何の関係もないように見える口腔ケアと認知症ですが、実は深い関わりがあることがわかってきているのです。

▼ご紹介した論文
16S rRNA Next Generation Sequencing Analysis Shows Bacteria in Alzheimer’s Post-Mortem Brain.
David C. Emery et al.
Front. Aging Neurosci., 20 June 2017


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