「ともに新しい時代へ」ADI(国際アルツハイマー病協会)国際会議レポート

2017年5月18日

4月26日のプレイベントを含め、29日まで京都国際会館にて開催されたADI(国際アルツハイマー病協会)国際会議。78カ国、約4000人が参加したこのイベントを、認知症ねっとが取材しました。

今回は、会議全体の様子についてレポートします。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
認知症ねっと
この記事の目次
  1. 主役は当事者とその家族
  2. 「認知症の人が自立できる支援を」当事者目線で論議
  3. 「若年性認知症」にも焦点
  4. 一般来場者にも開かれた会議
  5. 認知症、世界的な課題に

主役は当事者とその家族

かつて認知症は「ぼけ」「痴呆」などと呼ばれ、”何もわからない人”というレッテルを貼られていました。変化を起こすきっかけのひとつが、13年前日本で開催された本会議だったのです。当事者が自ら声をあげたことで、認知症への認識が変わり、日本国内でも「認知症」という言葉が使われるようになり、国の取り組みも本格化しています。

最新技術や医療分野の研究発表、ケアにおける先進事例の紹介など、200件に及ぶ活発なシンポジウムと約400件のポスター発表が行われた今回の国際会議。しかし通常の学会と違い、プログラムの前後には、肩を叩き合ったり握手をしたりと心温まる交流が繰り広げられ、当事者スピーチではスタンディングオベイションが起こる場面も。

開会式や閉会式には当事者やサポーターがステージで歌をうたうなど、このイベントの主役は紛れもなく認知症当事者とその家族でした。

「認知症の人が自立できる支援を」当事者目線で論議

以前の会議で大きな流れを作った1人が、オーストラリアの元官僚で当事者のクリスティン・ブライデンさん。「Nothing about us, without us!(私たちなしで私たちのことを決めないで!)」のスピーチで、当事者が発信する先駆けとなったブライデンさんも再来日を果たし、プログラムでのスピーチや、当事者のみで運営されたワークショップなどに参加しました。

他にも自ら発信者となり、世界規模で当事者目線を訴えるケイト・スワッファーさんや、日本で啓蒙活動に取り組む杉野文篤さんや丹野智文さんらが発表を行い、認知症にやさしい社会のありかたについて、そして当事者の人権について議論を深めたのです。

「若年性認知症」にも焦点

今回の会議には全大会のほか、様々な分科会などのあちらこちらで、若年性認知症についての話題が目立っていたようです。

若いうちに発症する認知症の人々にとって、高齢者向けの施設やサービスが合わなかったり、「ぼけ老人扱いされる」といった問題のほか、働き盛りで発症する場合もあり、経済的にも大きな打撃です。高齢者の場合とはまた違った対処も必要となり、課題が浮き彫りになりました。

一般来場者にも開かれた会議

 並んで開場を待つ一般来場者を迎えるスタッフ

会期中の2日間、ポスター発表、展示スペースなど「認知症を巡る世界の最前線」と題され、イベントホールが無料公開されました。認知症への理解を広く深めるため、公益社団法人「認知症の人と家族の会」と京都市が企画したもの。

会場内では認知症カフェで国内外のゲストと交流したり、日本の茶道を紹介するおもてなしコーナーも。認知症の理解深耕については、啓蒙漫画の配布や啓発映画の上映が行われました。

世界のケアや取り組みを知るポスター発表スペースや各ブースには、英語がわからない方のために通訳ボランティアも配置されています。行き届いた配慮と盛りだくさんの企画で、行列して開場を待つ来場者を迎えました。

 観光気分満載のフォトスポットも

認知症、世界的な課題に

閉会後の記者会見でマーク・ウォートマン事務局長は、13年前の日本での会議よりも当事者の参加が多かったことに触れ「世の中で(認知症が受け入れられる)変化が起きている」と話しました。参加した当事者の中には登壇する人も多く「誇りに思っている」とのコメントも。

一方、かつて認知症は高齢化の進む先進国の課題でしたが、今回は中米や東南アジアの参加国からも、社会問題化している現状が報告されており、全世界共通の問題として認識を新たにしました。

2017年ADI国際会議のプログラムについては、順次紹介していく予定です。


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