せん妄と認知症の違いとは 原因や症状

認知症と間違えられるだけでなく、認知症が原因で症状が出ることもあるせん妄とは、どのような状態なのでしょうか。認知症との見分け方のほか、症状や原因、予防法などを解説します。

この記事の目次
  1. せん妄とは
  2. 認知症とせん妄の違い
  3. 様子がおかしい…これってせん妄?認知症?
  4. 認知症とせん妄の違いって?
  5. せん妄の症状
  6. 過活動型せん妄
  7. 低活動型せん妄
  8. 混合型せん妄
  9. せん妄が起こる原因
  10. 病気が原因になるもの
  11. 年齢によるもの
  12. 環境の変化
  13. せん妄の種類
  14. 夜間せん妄
  15. 術後せん妄
  16. せん妄が起きた場合の対応
  17. 無理に止めたり反論したりせず、様子を見る
  18. 穏やかに声をかけ、不安感を取り除く
  19. 医師に相談する
  20. せん妄を予防・改善するには?
  21. 生活習慣を整えましょう
  22. 環境を整えましょう
  23. 体調を管理しましょう

せん妄とは

せん妄とは、病気や薬の影響、環境の変化などによって意識障害が起こり、混乱した状態のこと。時間や場所がわからなくなったり、幻覚を見たり、興奮するといった精神症状が出ます。人格が変わってしまったように感じることもあるでしょう。
暴れたり、周囲に対する暴言や暴力が出ることもあり、治療や看護にも大きな影響を及ぼします。


認知症とせん妄の違い

様子がおかしい…これってせん妄?認知症?

幻覚やつじつまの合わない言動、日付や場所がわからなくなるといった症状から、せん妄は認知症と間違われることがありますが、「せん妄=認知症」というわけではありません。状況によって以下のパターンが考えられます。

せん妄の場合

多くの場合症状は一過性のもので、原因を取り除いたり治療をすることで改善します。 突発的に症状が出た場合は、認知症ではなくせん妄である確率が高いでしょう。うつ病などとも間違えられることがありますが、この場合、適切な対処や治療で元に戻ります。

認知症の症状である場合

認知症の症状である記憶障害や見当識障害、レビー小体型認知症の特徴的な症状である幻覚や幻聴も、せん妄と間違われやすい症状です。
今までの生活状態と照らし合わせ、突然変化が起こった場合はせん妄の可能性が高いですが、徐々に現れたときには、認知症が疑われます。

認知症患者がせん妄を併発している場合

もともと認知症がある場合、せん妄を起こすと「認知症が悪化した」ように見えることもあります。しかし、認知症の場合は急激に症状が悪化することはほとんどなく、症状がゆるやかに進行します。せん妄の症状が落ち着いても、認知症の症状は悪化していくのが特徴です。
併発の場合は判断が難しいため、きちんと医師に相談しましょう。

認知症とせん妄の違いって?

一般的に、せん妄は数時間~数週間といった短期間で回復すると言われています。認知症の場合は回復が見込めないため、ひとつの目安になるでしょう。また、発症時期についても、せん妄の場合ははっきりと特定できますが、認知症の症状の場合は特定できないことが多いのも特徴です。


認知症とせん妄の特徴の違い

認知症

  • 発症時期があいまい
  • 急激な症状の変化はない
  • 症状は持続的(元に戻らない)
  • 1日のうちで症状の変動はおだやか
  • 意識はハッキリしていることが多い

せん妄

  • 発症時期が特定できる
  • 症状の変化が急激
  • 症状は一過性(元に戻る)
  • 1日のうちで症状が変わりやすい
  • 意識障害がみられる

せん妄の症状

過活動型せん妄

ふだんの様子よりも活動が過剰になるせん妄です。具体的には以下のような症状が出ます。

・興奮する、落ち着きがなくなる(不穏)、大声を上げる、暴れる、イライラするなど
・幻覚見える、妄想を抱く、話のつじつまが合わない
・いつもよりも大きな声で話す
・睡眠障害、不眠、昼夜逆転など。

低活動型せん妄

会話や活動が低下し、ひきこもりのような様子になるせん妄です。過活動型と違って見過ごされたり、うつ病と間違えらることもあります。

・会話が減る、反応が乏しくなる、無表情、無気力
・刺激をしないとすぐに寝てしまう
・食欲がない
・どこにいるのか分からない、日付や曜日が分からなくなる(見当識障害)など

混合型せん妄

過活動型せん妄と低活動型せん妄の症状が混在している状態です。昼間は低活動型であっても、夜になると過活動型の症状を呈する、という状況もよくあります。


せん妄が起こる原因

高齢者は特に、脱水や薬の影響によるせん妄を起こしやすいと言われています。その他、様々な要因が重なって起こる場合もあります。

病気が原因になるもの

認知症が原因で起こるせん妄のほか、以下のような疾患でせん妄がみられます。

脳疾患(脳血管障害、脳腫瘍、脳炎など)、糖尿病、腎不全、肝不全、心不全、呼吸不全、甲状腺疾患、パーキンソン病、脱水、悪性腫瘍など

年齢によるもの

高齢者の場合は、脱水や感染症、睡眠不足、ストレスなどの影響によっても起こる場合があります。

環境の変化

住環境の変化

リフォームなどによる変化のほか、ベッドの位置を変える、自室を変更するなどもせん妄の原因となることがあります。

入院による環境の変化

閉鎖的な病室やパーテーションで仕切られたような場所で感覚が遮断された場合
手術後の痛み、ICU(集中治療室)での環境の変化、 騒音・照明、不安など


せん妄の種類

夜間せん妄

夕方から夜間にかけて起きるせん妄を「夜間せん妄」と言います。
昼間よりも暗いため、刺激が少なくなったり、状況を認識するのが難しく、不安感が増してしまうことに起因しています。入院中には、夜間の物音や照明も原因となるでしょう。日中は変わった様子がない方もいます。
昼間の活動量を増やし、夜間ぐっすり眠れるように生活にリズムをつけることで予防ができます。

術後せん妄

手術の後はせん妄が起きやすいと言われています。
きずの痛みのほか、心理的なストレス、環境の変化、薬物の投与、体力の低下など、様々な要素が絡み合って起きるせん妄を「術後せん妄」と言います。
通常1週間程度で落ち着くといわれていますが、要因と考えらることを取り除く努力は必要です。

せん妄が起きた場合の対応

無理に止めたり反論したりせず、様子を見る

不穏や興奮、幻覚がみられた場合は、無理に制止したり反論したりすることで、ますます興奮することがあります。暴力に発展する場合もあるので、怪我をしないよう対応し、否定せずに様子を見ましょう。危険な物などは部屋に置かずに片付けておくことも大切です。

穏やかに声をかけ、不安感を取り除く

優しく呼びかけたり、現状を説明し「大丈夫」と声をかけるなど、本人が安心できる対応を心がけましょう。意識がはっきりしていない場合もあるので、本人の顔を見て、はっきりゆっくり話しかけてみてください。また、本人の話をきちんと聞くことも大切です。


医師に相談する

在宅でせん妄が起きた場合、症状が落ち着いても受診することをお勧めします。その際、どのような症状がみられたのか担当医師に説明をしましょう。
入院中であれば、ベッドから転落したり、起き上がって転倒したりする恐れがあるため、ナースコールで医療従事者を呼びましょう。

せん妄を予防・改善するには?

まずは本人のストレスとなる要因を取り除くことが大切です。また、薬や病気など、原因が分かっている場合は、治療や投薬の中止を行います。その他以下を参考にしてください。

生活習慣を整えましょう

昼間は散歩や趣味、運動を取り入れ、夜間ぐっすり眠るように生活リズムを整えましょう。朝は、自然な光がさす部屋にすると体内時計が整います。また、朝食を食べることで、身体が目覚めます。1日3回、しっかり食事を取ることも大切です。

就寝前には、排泄を済ませたり、足湯やマッサージ、静かな音楽を流すとなど、リラックスして眠りを促す環境づくりも効果的です。

環境を整えましょう

突然の環境の変化は、混乱し、ストレス要因になります。バリアフリーなどのリフォームを行う場合にも、住み慣れた環境を残しながら改築・改造することが大切です。

また、カレンダーや時計を見えやすいところに置くことで、見当識の低下を予防することにも役立ちます。

体調を管理しましょう

脱水、睡眠不足、便秘などは日頃から起こりやすい症状です。特に夏は、部屋の中にいても脱水を起こすことがあります。こまめに水分を摂取しましょう。お茶は利尿作用があるため、水や麦茶が最適です。


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