認知症の診断とは

認知症と言ってもいろいろなタイプがあり、ご本人や認知症のタイプにより様々な症状があります。だからこそ認知症の専門医などが的確に診断することで適切なケアを提供できるのです。

ですが、認知症の初期には診断を恐れるなどの理由で受診を拒むケースが少なくありません。ここでは受診時の予備知識から、実際の診断基準などを紹介いたします。

受診前の予備知識

診断の重要性

認知症の診断において非常に大切なことは、脳卒中や心筋梗塞などといった病気と同様に早期発見が大事だという事です。認知症というと、老化の一環だから仕方ないことだと諦めてしまう人も多いものです。

しかし、早期発見に努め、診断、治療を進めることで多くのメリットが生まれます。

1.治療で劇的に良くなるケースもある

すべてのケースではありませんが、正常庄水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などの場合は、脳外科的処置で改善します。また甲状腺ホルモンの異常が原因の場合は内科的処置で改善します。

2.進行を遅らせることが出来る

特にアルツハイマー型などの場合は、薬で進行を遅らせることが出来ます。出来る限り医療を受けるチャンスを与えることは大切です。また早期発見で、その先に起こる生活上の障害や徘徊をはじめとしたトラブルにも事前に対応することが出来ます。

3.早期に今後の治療方針や終末医療、介護方針を決めることが出来る

人は最後まで人間らしく自分らしく生きる権利があります。そういった意味でも、早期に発見でき診断が下ることで、治療方針や介護方針なども共に決めていくことが出来ます。

現状の把握

早期発見から診断に繋げるには正しい情報提供を行うことが大切です。医師は問診のプロである為、上手に聞き出してくれますが、診断を受ける本人に情報提供を提示させるのには無理があります。

そこでご家族の方が、以下のようなポイントで日頃から家人の状況をメモしておいて下さい。

・1冊メモノートを作り、毎日少しでも気づいたことを書き留める
・経過(いつ頃からどんな症状が、どんな頻度で出ているのか)
・病歴
・服薬している薬(いつからいつまで何の薬をどのぐらい飲んだか)

ご家族などに受診を勧める注意点と方法

もしかして認知症なのではと感じたとき、早期診断を受ける為にも、医療機関で受診することがまず1歩となります。ただ、家族から直接受診を勧める際には注意が必要です。

今まで出来ていたことができない、物忘れがひどいという時、それを感じる本人も不安と同時に大きなショックを受けています。そして認知症という可能性を受け入れがたい現実があるのです。特に日頃から自分で何でもやることができる人ほどプライドもあり傷ついてしまう事があります。

そこで、市町村からの検診が来ているからという理由や、地域包括支援センターなどに介入してもらうという方法を取るのもいいでしょう。

病院の選び方

いざ受診をするとなった時に、どこの病院の何科にいけばいいのかというのも悩んでしまうものです。また受診する本人からしても、いきなりもの忘れ外来となると抵抗を示すこともあります。

そこで、一番いいのはかかりつけ医に診てもらい、そこから紹介してもらうケースです。病院の選び方についてご紹介しますので、参考にしてください。

かかりつけ医がいる場合

医師が患者さんの過去の病歴や性格などもある程度把握していることから、より的確な認知症専門医を紹介してもらえるでしょう。そこで、受診時に症状メモノートなどを見せて相談するといいですよ。

かかりつけ医がいない場合

脳外科、精神科、心療内科、神経外科などで診てもらう事が出来ます。またもの忘れ外来という科も存在します。地域包括センターなどに相談し、どこに行けばいいというのをアドバイスもらうのも1つの方法です。

セカンドオピニオン

より的確な医療を受ける為に、自らが納得した治療を受ける為にも、1つの病院だけでなく複数の病院を受診することは大切です。

もう既に他の先生に診てもらっているからと遠慮をする必要はありません。本人の不安を取り除き、あらゆる可能性を探りながらベストな治療を選ぶのは、私たち誰しもが持っている権利なのです。


認知症の診断と検査

診断と検査方法

認知症の診断の方法や基準には、いろいろなものが研究されています。その代表的なものが下記の3つです。

(1)認知症の診断基準(厚生省研究班、1989年)
(2)DSM-IV-TR(アメリカ精神医学会)
(3)ICD-10(WHO)

これらの基準に基づき、次のような検査が行われます。

一般的身体検査

治療可能な認知症との鑑別が重要になりますので、原因である身体的疾病の有無を調べるために身体的検査が必要になります。主に行われる検査は、
(1)尿検査、(2)血液検査、(3)内分泌検査、(4)血清梅毒反応、(5)胸部X線写真、(6)心電図検査などです。

脳の一般検査

(1)腱反射などの神経学的検査、(2)脳波検査、(3)脳脊髄液検査などが行われます。

脳画像診断検査

(1)X線検査、(2)コンピューター断層撮影(CT)、(3)電磁線を応用したMRI、アイソトープを用いて脳の血流の状態を調べるSPECT、脳糖代謝量を調べるPETなどがあります。

知的機能を測定する心理テスト

(1)ウエクセラ成人用知能検査第三版(WAIS-III)、(2)新長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、(3)Mini-Mental State Examination(MMSE)、(4)アルツハイマーアセスメントスケール日本語版(ADAS-Jcog)

その他

(1)遺伝子検査、(2)病理検査

ここで重要なことは、どのような精密な検査であっても、検査だけで診断はできないということです。
今や広く利用されるようになった長谷川式スケールについても、非専門化がテストの特徴を理解しないまま行っても全く信頼性のない結果がでる場合もあります。

医師は、検査結果と問診から、基準にもとづき診断します。
また、この診断結果に併せて、本人や家族と治療方針を決めていきます。

認知症で初めて病院にかかるのは怖いものですが、不安を感じたら、まずは医療機関に相談してみましょう。


(画像はイメージ)


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