認知症の介護施設の種類

1. 福祉施設を利用する

施設の種類

介護保険制度では、できる限り在宅で暮らしていけることが目標のひとつとなっています。

とはいえ、家庭の介護力などの環境には差があり、誰でも最期まで自宅で生活できるものではありません。特に、認知症高齢者の場合の在宅介護は困難を伴うことも多く、施設を利用することを選択肢の一つとして考えることも大切です。

介護保険が適用される施設は、

(1) 特別養護老人ホーム
事業者は主に地方公共団体や社会福祉法人です。対象としている高齢者は常時介護が必要であり、在宅生活が困難な寝たきりの高齢者等を対象としており、50~100人が共同で生活しています。他の施設と違い、この施設は生活の場であり、一人あたりの居室面積は10.65平方メートル以上と多少広めです。現在あるホームの多くは4人部屋等の大部屋ですが、個室に変更するホームも増えてきています。また、新設されるホームは全て個室となっています。医療的には他の二施設と比較すると薄い面があります。

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(2) 介護老人保健施設
在宅や他の施設への復帰を目指した中間的医療施設です。主にリハビリなどの訓練を行うことが目的であり、事業主体は医療法人が中心であり、社会福祉法人もあります。中間施設ということもあり、この施設の利用期間は概ね3ヶ月程度です。居室も生活がメインではありませんので、一人あたりの居室面積は8平方メートル以上という基準です。

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(3) 介護療養型医療施設
介護を受けることのできる医療施設であり、事業主体もほとんどが医療法人です。長期療養を必要とする高齢者や精神症状および行動障害が特に著しい認知症高齢者などを長期に受け入れる施設になります。一人あたり居室面積は6.4平方メートル以上となっています。

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以上が介護保険制度上の施設サービスと位置付けられています。さらに在宅サービスのなかに施設サービス様の(4) 認知症対応型共同生活介護と(5) 特定施設入居者生活介護があります。

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施設サービスは、一般的に大規模な施設で比較的低価格で利用できますが、後者は低価格から高価格まで多種多様です。なお、施設サービスはほとんどが満室状態で、利用するには数ヶ月から数年待たないといけないケースも多く見られます。よって、認知症高齢者の方々が入居する施設選びは、各々の状況に応じ、これらの施設を視野に入れて選んでいくことになります。

施設選び

いざ施設を選ぼうと思うと、それぞれの施設がどのように違うのか、どの施設が自分に適しているのかなどとてもわかりにくいものです。

特に、認知症高齢者の場合は、自分で施設を選ぶことが難しいことが施設選びを困難にしています。施設を選ぶときは、家族、親族や代理人が本人の立場にたって施設を選ぶということが大切です。

介護保険制度で理想は高く掲げられていても、施設におけるサービスの実態はまだまだ不透明です。本人の状態とサービスの内容がマッチしない場合には、認知症が余計に進行してしまう危険性もないとはいえません。ぜひ、施設選びは慎重に行ってください。

施設を選ぶ際に何よりも大切なのは、自分が認知症高齢者になったつもりで、本当にこの施設での生活で満足できるかどうかを自分の目で確かめ、納得することではないでしょうか。

2. 施設の違い

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

いわゆるグループホームと言われるものです。
介護保険制度上は在宅サービスに位置付けられていますが、実質的には認知症高齢者専用の共同生活施設です。認知症高齢者は在宅での生活が困難な場合が多く、介護者の負担も大きなものとなります。特にアルツハイマー型認知症の高齢者は一人でいると不安が増大し、行動障害へ発展していくことも多くあります。そこで、先進国スウェーデンでの事例を取り入れて始まったのがグループホームです。

グループホームは1ユニット5~9人の施設で、そのなかでスタッフとともに共同生活を行っています。自立支援型介護が基本であり、掃除や洗濯等は高齢者自身も作業をしながら、少人数のなかでなじみの環境を作り生活する場であり、残された機能を存分に使うことで、精神的にも落ち着きを取り戻し、認知症の進行を遅らせる効果があると言われています。

事業主体は介護保険制度施行後多様な形態をとっており、個人から企業、社会福祉法人や医療法人などさまざまなところが取り組んでいます。

施設は小規模なものが多く、なかには一軒家を改造して利用しているところもあります。あくまでも在宅に近い状況を作り上げることが、認知症高齢者にとって落ち着きのあるなじみの場を提供することになります。

対象者は認知症高齢者で、概ね自立して共同生活が営める方ということになり、重度や寝たきりの高齢者への対応は今後の課題となっています。

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特定施設(特定施設入居者生活介護)

特定施設入居者生活介護は、多種多様な施設があり、ほとんどが有料老人ホームと考えていただいても結構です。

有料老人ホームの分類は、介護を必要としない高齢者を対象とした「健康型」や、介護が必要となった場合は併設もしくは外部にある介護サービスを受ける「住宅型」、さらには一旦入居すれば、ほぼ全てのサービスを施設内で受けられる「介護付」といわれるものがあります。この介護付有料老人ホームが特定施設入居者生活介護の施設ということになります。

健康型や住宅型と呼ばれるものは、健康か比較的自立度の高い高齢者が利用する施設で、どちらかというとシニアマンションのようなイメージのものもあります。価格設定も比較的高額で、なかには1億円を超えるような施設もあります。

介護付有料老人ホームを選択した場合、その利用料の一部が介護保険(特定施設入居者生活介護)で賄われるため、料金的には他の二つに比べると若干安く設定されています。これらの施設は、ホームのスタッフから一体的に介護サービスが提供され、状態にもよりますが概ね重度になっても対応できる仕組みとなっています。

なかには「認知症対応」や「終身」とうたっている施設もあり、医療が必要とならないかぎり最期まで利用できるような施設もあります。

生活空間というのが基本ですから、個室であり、一人あたり居室面積18m2以上と部屋も広めに設定されています。

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3. 施設選びのポイント

いろいろなタイプの施設がありますから、それぞれに症状の違う認知症高齢者に適した施設を選ぶのは容易なことではありません。ここでは、その選択のポイントをご説明します。

(1) 利用の目的

まず、目的を明確にすることです。

継続的な医療を必要とする場合は老人保健施設もしくは介護療養型医療施設を選択することになります。これ以外の施設も併設や協力の医療機関や提携医療機関を持っていますので安心ではありますが、メインが医療ではなく生活になります。

(2) 評判を聞いてみる

客観的立場にあるケアマネージャーなどからその施設の評判を聞いてみてください。

(3) 説明を聞いてみる

実際に施設へ足を運んで説明を聞いてみてください。どの施設もサービス内容を説明した「重要事項説明書」があるので入手し、わからないことは納得がいくまで説明を受けてください。

その際の施設側(施設長、ケアマネージャー、生活相談員、介護スタッフ)の対応も重要な判断材料です。認知症高齢者について詳しくなかったり、対応が丁寧でないところは要注意です。

(4) 施設を見学する

話を聞いたら、かならず自分の目で施設内を確かめてください。

居室はプライバシーが保てるか、トイレは使いやすいか、共有スペースは十分確保されているか、浴室は入りやすいか、また、安全性に配慮されているか、緊急時の避難経路は確保されているかなど、認知症高齢者に配慮した生活空間になっているかをチェックしてみてください。

(5) スタッフの様子を確認する

実際に介護サービスを提供するのは施設内のスタッフです。見学の際などにスタッフの動きをチェックしてみてください。

笑顔で対応しているかどうか、動きは機敏か、施設内の飾りつけなどもスタッフの資質を知る上では大切です。また、直接スタッフと会話をしてみるのもいいでしょう。誠実に答えてくれるスタッフであれば、その後の生活も安心できる施設といえるでしょう。

(6) 入居者の様子を確認する

実際に入居されている方の様子をチェックしてみてください。

笑顔があふれるような施設はいい施設です。

(7) におい・清掃

食事や排泄物の処理がきちんとなされていないと施設内に異臭がするものです。においは重要なチェックポイントです。

あわせて、施設内の清掃状況もみてください。フロアにほこりやゴミが落ちていたり、トイレが汚れている施設は好ましいとはいえません。

(8) 食事・レクレーション

施設内で提供されている食事を試食してみてください。事前に連絡しておけば、ほとんどの施設は試食ができるはずです(有料の場合もあり)。

味付けや食事の量、介護食の対応などについてチェックしてみてください。また、実際の生活では、食事と並んで施設内でのレクレーションも楽しみのひとつです。どのような行事が組まれているのか、また、一日の生活はどのように流れているのか確認してみてください。施設によって制約はありますが、外出の機会の確保は、閉ざされた生活となりがちな認知症高齢者にとってよい施設かどうかの判断材料の一つとなるでしょう。

(9) 複数の施設を見学する

入居すれば、その後何年間と利用するものであり、ぜひ慎重に選んでください。

複数の施設を見学しているうちに、徐々に施設の良し悪しは見えてくるものです。よいと思った施設は2度3度と見学してみるようにしてください。

(10) 運営母体

従来からのサービス主体である社会福祉法人、医療法人に加え、有料老人ホームなどでは、民間会社の進出も進んでいます。

従来の枠にとらわれない新しいサービスを提供する反面、いったん、経営状態が悪くなると、即施設の運営に影響します。判断材料の一つとして、運営母体の経営状況も調べてみるといいでしょう。


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