地域包括ケアシステムってなに?

高齢者が住み慣れた地域で、最期まで自分らしく暮らしていけるよう、様々な支援をする体制が「地域包括ケアシステム」です。

このページでは、このシステムの形や考え方、具体的な取り組み、私たちの役割などについて解説します。

この記事の目次
  1. 「地域包括ケアシステム」とは?
  2. 「地域包括ケアシステム」のはじまり
  3. 地域包括ケアシステムの具体的な内容とは
  4. 地域包括ケアシステムのイメージ
  5. 地域包括ケアシステムにおける構成要素
  6. 4つの「助」で見る地域包括ケアシステム
  7. 地域包括ケアシステムは地域の特色を生かした「まちづくり」
  8. 地域包括ケアシステムの成功例
  9. 地域包括ケアシステムにおける私たちの役割

「地域包括ケアシステム」とは?

地域包括ケアシステムとは、高齢になって生活に変化があっても、切れ目なく必要な支援を受けながら、地域の中で暮らしていけるよう整えられる体制です。医療・介護・福祉の強い連携や地域住民の協力によって、高齢者が人生の最後まで尊厳ある生活を続けられることを目指しています。

2025年には、介護を要する認知症患者も470万人に達すると予測されています。そのため、地域で高齢者を「看取り」まで支える体制づくりが、各地で急がれています。

「地域包括ケアシステム」のはじまり

「地域包括ケアシステム」の概念は、広島県のある医師により、1970年代に生まれました。

命を救って退院した患者さんが、1~2年で寝たきりになり再入院してくる状況を見た医師は、家庭での介護状況や高齢者の日中の孤立などに原因があると考えました。そこで、医療・看護・福祉・介護・リハビリの出前という新しいサービスを生み出します。その後、約10年の歳月をかけ、行政や地域住民の協力を得て町全体を改革。町ぐるみで「寝たきりゼロ」を目指す体制を作り上げました。そしてその体制を「地域包括ケアシステム」と名付けたのです。

時を経て2005年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」の創設が打ち出され、現代に適した「地域包括ケアシステム」の概念が徐々に具体化されていきました。

地域包括ケアシステムの具体的な内容とは

地域包括ケアシステムのイメージ

地域包括ケアシステムでは、地域の中でも学区程度の身近な範囲で、その時々の高齢者に必要な支援が切れ目なく提供されます。たとえ入退院を繰り返し体力が落ちても、一人暮らしであっても、高齢者は地域での生活を続けることができるのです。

健康や生活の悩みは、いつでも地域包括支援センターに相談できます。センターは個々の相談に応じると同時に、地域全体の問題や需要を把握し、体制づくりや改善に繋げます。

※厚生労働省 「地域包括ケアシステム」事例集成を元に認知症ねっと編集部で作成

地域包括ケアシステムにおける構成要素

地域包括ケアシステムを構成する要素については、植木鉢に例えた構成図が使われています。

※平成 27 年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業「地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業報告書」を元に認知症ねっと編集部で作成

本人の選択と、本人・家族の心構え:皿

例えば配偶者が亡くなった後、介護が必要になったとき、どこで誰とどう生きるかを、まず本人がしっかり考え意思表示をすることが大切です。そして本人・家族がそれに対する心構えを持つことが、植木鉢の「皿」にあたる全体の土台となります。

住まいと住まい方:鉢

本人の希望や経済力にかなった住まいと暮らし方、尊厳やプライバシーの守られた環境が確保されます。土や葉がこぼれ落ちないよう維持する「鉢」として表されています。

介護予防・生活支援:土

社会参加や専門職との関わりの中で、本人が健康維持のために努力する「介護予防」が求められます。

また、買い物支援やゴミ出し支援などのサービスのほか、ご近所の声掛け・見守りを含む「生活支援」により、心身の病気や家族環境、経済的な問題がある場合も、尊厳ある生活を続けられるようにします。

葉で表される専門職の活動を支え充実させるために重要な「土」として表されます。

専門職によるサービス:葉

「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・福祉」のサービスは「葉」で表され、鉢や土があって初めて育ち、本来の役割を果たせることを伝えています。

各サービスはケアマネージャーが必要な支援の計画を立て、連携を持って提供。専門職は、地域全体への教育・指導なども行います。

4つの「助」で見る地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムは、「自助・互助・共助・公助」の連携によって成り立ちます。

「自助・互助・共助・公助」とは?

・自助
健康管理など、自分のことを自分ですること。

・互助
ボランティアや住民同士の助け合い。

・共助
介護保険などの保険制度。

・公助
生活保護などの公的支援。

少子高齢化や財政状況から、共助・公助には限界があるため、今後は自助・互助の役割が大きくなることが期待されています。

※平成 27 年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業「地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業報告書」を元に認知症ねっと編集部で作成

地域包括ケアシステムは地域の特色を生かした「まちづくり」

地域包括ケアシステムは、国ではなく自治体が主体となって体制づくりをしています。

なぜなら、地域によって自然環境も違えば、人口や高齢化率、病院や施設の数なども違い、それぞれのまちの状況や住民のニーズに合ったサービスが必要だからです。

そのためには、地域に密着して活動してきた行政・医療・福祉・介護サービス、住民やボランティアなどが、自由な発想でアイデアを出し合う必要があります。

地域包括ケアシステムの成功例

全国の取り組みの中、新しい発想や様々な工夫により、システム構築が大きく前進した例の一部を紹介します。

北海道当別町

大学生のボランティア活動から、認知症の方が働く農園が生まれ、障害児や一般の町民も集まり、農業を通じて働きながら交流できる場になっています。

東京都新宿区

身寄りのない低所得高齢者に対して、「住まい・生活支援・地域リハビリ・在宅看取り」を段階的に提供する取り組みが行われています。空き家の活用やケア付き就労の促進、また「公助」だけでなく、イベントなど出会いの場を提供することにより利用者間での「互助」を生み出し、地域での看取りにも繋げています。

※出所:厚生労働省 「地域包括ケアシステム」事例集成


地域包括ケアシステムにおける私たちの役割

地域包括ケアシステムにおいての舞台は地域、そして主役は住民です。概念を説明する図などからも、今後「自助・互助」に期待される部分が大きいことが分かります。このシステムは、私たち地域住民が興味を持ち、理解し、参加することで初めて育っていくシステムなのです。

しかし、※2015年の調査によると、国民の「地域包括ケアシステム」の認知度は23.8%で、全体の4分の1にも満たないという結果で、周知されているとは言い難い状況です。

元来このシステムは高齢者だけでなく、障害者や子どもを含むすべての住民のための仕組みであり、今後も時代に合わせて進化していくものと考えられます。誰にとっても他人ごとではありません。

まずは少しでも多くの方が、このシステムに興味を持ち、地域の活動を理解し、参加することが重要なのです。

「地域包括ケアシステム」を全く知らなかった、よく知らなかった、という方は、まずご自身の街で、どんな取り組みが進んでいるのか、自治体のホームページなどで調べてみましょう。

※出所:平成26年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
介護予防や地域包括ケアの推進に対する国民の意識調査研究事業 調査報告書


※参考: 医療主導による地域包括ケアシステムの形成と展開 : 広島県尾道市におけるモデル構築を事例に


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