認知症になってしまった際の経済的な援助

認知症でかかる経済的負担について

認知症になってしまった65歳以上の方は、年金を受給出来、また60歳以上であれば年金の繰り上げ受給が出来ます。しかし65歳未満の若年層でも認知症を発症する可能性はあります。

若年性認知症の方は、治療費や介護サービス費などの、本人にかかる費用だけでなく、家族にかかる費用、子供の学費や、家や車のローンの返済などがある場合も多くあります。一家の大黒柱である方が認知症を発症してしまった場合には、病気の進行により仕事を続けられなくなり、経済的に困窮してしまうケースも見られます。


治療費

認知症以外に病気がない場合は、認知症だけにかかる治療費を考えれば良いですが、他に病気がある場合は、その治療も必要です。
若年性認知症では、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる、血管性認知症が全体の約40%を占めています。この場合、脳血管障害と認知症の両方の治療が必要となり、その上、CTやMRIといった高額な検査も定期的に受ける必要があります。
またアルツハイマー型などに処方される薬は、高額なものもあり、経済的な負担が大きくなる場合もあります。

>>脳血管性認知症についてはこちら

>>アルツハイマー型認知症についてはこちら


介護サービス費

高齢者ではなくても40歳以上であれば、若年性認知症は介護保険の特定疾患となり、自宅で介護をする場合、訪問サービスやデイサービス、ショートステイなどの介護サービスが受けられます。

サービス利用料金は1割負担になります。介護度が重くなると高くなりますが、介護度が重くなれば介護負担限度額も引き上げられるため、多くのサービスを受ける事が出来ます。また限度額を超えた場合は、全額自己負担となります。

認知症では、介護度が重くなくても、家族が対応するには難しい問題行動が見られる事もあり、介護負担の軽減を図るために、サービス限度額を超えてサービスを受け、全額自己負担金が発生するケースが見られます。

施設に入所する場合は、どの施設であっても、介護サービス費以外に、食費や日常生活費、個室であれば部屋代がかかり、安いと言われる特養でも1か月に、7万円から15万円、グループホームでは、10万円から20万円程が必要で、負担は大きくなると考えられます。

>>介護保険制度についてはこちら


受けられる援助(高齢者・若年層)

上限が決められ超えると返還される制度

所得によって負担の上限が決められ、超えた金額が返還される場合があります、申請や問合わせは、それぞれ異なりますので、確認の上、該当するものがあれば申請しましょう。

・医療費控除
1月1日から12月31日までの1年間に、支払った医療費が10万円を超えた場合、支払った金額からから10万円又は所得金額の5%のどちらか少ない方を引いたものが控除されます。申請先は税務署で、確定申告をする必要があります。

・高額療養費制度
1か月(月初めから終わりまで)に、病院や薬局など医療機関で払ったお金が一定額を超えた場合、超えた分の払い戻しがあります。
70歳未満の人では、所得によって限度額が3段階に分かれていましたが、2015年より5段階と細かく分けられるようになりました。70歳以上の人については変更ありません。

払い戻しには3か月ほどかかる場合があり、その間の医療費の支払いに困るようであれば、高額療養費支給額の見込み額の8割に当たる金額を、無利子で貸し付けしてもらえる、「高額医療費貸付制度」があります。また年に3回以上、高額療養費の支給を受けている場合、4回目からは負担限度額が引き下げられます。
申請は加入している健康保険組合などの医療保険にします。

・高額介護サービス費
介護保険の自己負担金が、所得によって決められた上限を超えた時点で申請すれば、超えた分が払い戻されます。

生活保護、又は非課税世帯で所得80万円以下であれば1万5000円、非課税世帯で所得80万円を超える世帯では2万4600円、課税世帯では3万7200円が上限となります。
住宅改修費や福祉用具購入費、施設サービスやショートステイなどの部屋代や食費、日常生活費などは対象にはなりません。

申請については、自治体によって若干の相違がありますが、該当者へ申請用紙が送付されるので、それを使用して申請します。該当すると思うのに、申請用紙が届かない場合は市町村の福祉窓口にお問合わせください。

・高額介護合算制度
1年間の介護サービス費と医療費を合算し、所得に合わせて上限より超えた分が払い戻されます。

高額介護合算制度では、70歳未満の人では、住民税非課税世帯は年額34万円、一般は67万円、上位所得者は126万円となります。また、70歳以上の人では、住民非課税世帯でも所得によって、19万円と31万円に分かれ、一般は62万円(75歳以上では56万円)、上位所得者は67万円が上限となります。

>>記憶障害とはいったいどんな症状?


自己負担の軽減が出来る制度

・介護保険負担限度額認定証
介護保険施設に入所した場合、所得によって4段階に分けられ、部屋代や食費などについて負担の上限が決められ、負担の軽減が出来る認定証です。市町村の福祉・介護保険課に申請をします。

・社会福祉法人による利用者負担の軽減制度
生活に困窮していて軽減の条件に当てはまる利用者が、軽減制度に参加しているサービス事業者で行われている介護サービスを利用した場合に、1割負担であるサービス利用料の一部が軽減されます。市町村の福祉・介護保険課に申請します。

※サービス業者の全てで行っているわけではないので、利用を希望する場合はその業者に確認してください。


若年性認知症患者への援助

自立支援医療(精神通院医療)

指定された医療機関での治療に関しては、通院にかかった医療費が1割負担となります。また所得が低い方であれば、負担の上限が決められています。市町村の障害福祉課や保健所などに申請します。


傷病手当金

病気や怪我のために、休職を余儀なくされた場合に支給される手当金です。
病気などで3日以上続けて休んだ時に、4日目から標準報酬日額の2/3の金額を、最長1年半支給してもらえます。途中で退職となってしまっても、退職時に傷病手当金を受けていて、1年以上健康保険の被保険者期間があると、1年半まで続けて支給が受けられます。
医師や事業主の証明が必要で、加入している保険組合に申請します。


障害者手帳

身体的に問題がなく、アルツハイマー型認知症などの診断を受けた場合には精神障害者保健福祉手帳が申請出来ます。
また脳血管性認知症では麻痺などが残っている場合もあり、身体的な障害が大きければ、身体障害者手帳が申請出来ます。等級などによって異なりますが、障害者手帳を保持している事で、税金の控除や減免、交通料金の割引などが受けられます。
写真が添付されますので、身分証明としても利用できます。
また、再就職が出来る状態であれば、障害者枠で働く事が出来ます。申請が出来るのは認知症の診断を受けるために受診した日から6か月後からで、市町村の障害福祉課などに申請します。


障害年金

障害基礎年金と障害厚生年金があり、認知症の診断を受けるために受診した日から1年半後から申請が出来ます。
障害基礎年金は、1級又は2級(障害者手帳の等級とは関係ない)の障害状態で、認知症と診断された月の前々月までに、加入している年金の2/3を滞らず納めている事が必要です。また厚生年金に加入していた人なら障害厚生年金を、障害基礎年金に上乗せして受け取れます。
受給資格について細かな条件があり、医師の診断書など必要書類も多いため、近くの年金事務所に確認しましょう。


住宅ローン支払い免除

住宅ローンが残っていても、支払えなくなる事も考えられます。ローン契約内容に特約制度として「高度障害状態」になった場合は、支払いが免除されるなどと謳っているものもあります。
契約内容や高度障害状態に相当するのかなど、ご加入の金融機関に問合わせてみるとよいでしょう。


生命保険の高度障害保険金

認知症の程度が高度障害と認めてもらう事が出来れば、死亡保険金と同額が支払われる事になります。またその場合、支払い以降の生命保険は解約となります。ただ自分で身の回りの事が出来る状態である間は、これに当てはまらない場合が多いでしょう。
保険会社によって、この高度障害の程度が異なりますので、ご加入の保険会社に問合わせてみましょう。

市町村によって、サポート体制は異なりますので、市町村の福祉窓口で相談してみましょう。また弁護士などがサポートしている地域もあるので、無料で相談出来る法テラスなどを利用してみるのもよいかもしれません。


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