認知症高齢者の日常生活自立度

この記事の目次
  1. 認知症高齢者の日常生活自立度とは?
  2. 各レベルにおける判断基準と、実例など
  3. 日常生活自立度の判断基準一覧
  4. 日常生活自立度Ⅰ)
  5. 日常生活自立度Ⅱb)
  6. 日常生活自立度Ⅲa)
  7. 日常生活自立度Ⅲb)
  8. 日常生活自立度Ⅳ)
  9. 日常生活自立度M)
  10. 判断基準で重要な点
  11. いつ?どこ?で起きているかが分かれ道
  12. 介護認定調査員はここを観ている

認知症高齢者の日常生活自立度とは?

介護を公的保険で行う介護保険制度がスタートして15年目に差し掛かろうとしています。

現在の要介護度は「非該当、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5」の8段階となっており、要介護者の介護にどれだけの時間が必要なのかという判断が、その人の要介護度の判定となります。判定基準の1つとして重要なのが日常生活自立度です。

「認知症高齢者の日常生活自立度」とは簡単に言うと、認知症の方にかかる介護の度合い、大変さをレベルごとに分類したものです。

主に医療関係者や施設事業者が書面で利用者(患者)の情報をやりとりする際や、介護保険の認定の際(認定調査の資料・主治医意見書)の書類に使用されます。

レベルには「自立・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の8段階があり、Ⅰに近い方が軽く、Ⅳに近くなるほど重くなります。※Mレベルについては後述。認知症のない方の場合には「自立」にチェックが入る仕組みとなっています。

各レベルにおける判断基準と、実例など

日常生活自立度の判断基準一覧

レベル 判断基準
Ⅰ) 「何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態」基本的には在宅で自立した生活が可能なレベルです。
Ⅱa) 「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態」
Ⅱb) 「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになるが、誰かが注意していれば自立できる状態」
Ⅲa) 「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られ、介護を必要とする状態」
Ⅲb) 判断基準「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが夜間にも見られるようになり、介護を必要とする状態」
Ⅳ) 「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態」
M) 「著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態」

日常生活自立度Ⅰ)

軽度の物忘れがありますが火の不始末や薬の飲み忘れは見られず、家族や支援をする人がいれば日常で困る事はほとんど無い状態といえます。 認知症ではない、年齢相応の物忘れの方もこのレベルで判定されている方をよく見かけます。軽度認知障害(MCI)の場合もありますので、物忘れがあって心配だと思われる方は一度専門医を受診される事をお勧めします。


日常生活自立度Ⅱb)

客観的に認知症の進行度合いを観察する上で、自宅外と自宅内ではどちらが認知症の方にとって活動しにくいでしょうか? 答えはもちろん自宅外です。何故なら住み慣れた自宅の中ではある程度生活習慣に根付いた行動が出来るため、自宅外と比較すると活動しやすいと思われます。

しかし自宅外では環境が常に変動し、新しい事の記憶や適応能力が低下した認知症の方にとっては、外に出る事が毎回「未開の地での冒険」のようになってしまいます。従って、自宅内での活動にも支障がみられるようになるということは、それだけ認知機能が低下したと判断する事ができるのです。

また、医師が主治医意見書を書く際に「内服管理が自分で出来るか出来ないか」で「Ⅱbレベル」の分岐点となる事が多いです。服薬管理が出来るならⅡbより良い状態、逆に出来ないならⅡb以下という具合です。

日常生活自立度Ⅲa)

認知症の中核症状・周辺症状が共にⅡレベルより悪化し、支援を受けていても在宅生活が困難となった状態です。食事や排泄といった日常生活において重要な行動が自力では出来ず、周辺症状により介護者へ重い負担が掛かるようになります。このような症状が日中を中心に発生している頃がこのレベルです。

日常生活自立度Ⅲb)

Ⅲaの状態が夜間にみられるようになるとⅢbレベルになります。夜間の介護負担増大は介護者にとって甚大な負担となるだけでなく、介護者自身の体調も悪化させてしまいます。

また日中は傾眠、夜間に認知症状が出て覚醒するという昼夜逆転の状態となり、更にADL(日常生活動作)面の低下を招いてしまう悪循環が懸念されます。


日常生活自立度Ⅳ)

Ⅲの状態が終日続き、目が離せない状態がⅣレベルです。在宅生活は非常に困難な状態で、介護者は休まる暇もなく介護に当たらなければならなくなります。適切に介護サービス等を利用し、ご本人と介護者が出来るだけ穏やかに暮らしていけるようにしましょう。


日常生活自立度M)

Mレベルは、せん妄等の一時的な精神状態の悪化(可逆的な状態)で、専門医を受診する必要がある状態です。どのレベルからもMレベルになる可能性がありますし、Mレベルとなった原因が治癒したら元のレベルに戻る可能性も高い状態でもあります。


判断基準で重要な点

いつ?どこ?で起きているかが分かれ道

各ランクの基準は、認知症の問題行動が、いつ?どこで?起きているのかで分かれてきます。
そして、見守り→声かけ→時々介護→常時介護 と必要な援助によってランクの判定も重くなります。

例1:
Aさん=日中に常時介護が必要だが夜間に良眠されている。
Bさん=日中は簡単な見守り程度で良いが夜間は不穏状態となり常時介護を要する。

このような場合は、AさんがⅢaでBさんがⅢbと、Bさんの方がランクが重く判定されます。


例2:
Cさん=他者に対してのコミュニケーション能力が高く外出先での行動は、ほぼ自立している。家庭内においては日常生活全般において促しや声掛けなどの介助を要する
Dさん=家庭内では日常生活全般において見守り程度の援助で自力で可能。外出先ではいつも混乱し、行動一つ一つに対して促しや誘導が必要。

このような場合は、一見Cさんの方が軽介助者に思われがちですが、CさんがⅡbでDさんがⅡaとCさんのランクが重く判定されます。

介護認定調査員はここを観ている

まず、介護が必要な時間帯は日中が中心か夜間が中心か。主に介護が必要なのは家庭内なのか外出先なのか。を判断します。その次に認知症の問題行動の内容を細かく検証していきます。

今までの暮らしの中で身近に行っていた行動に対してミスが目立ち出すことの方を重く判定します。

外出先で度々道に迷う。お店で買い物の計算が上手にできなくなる。と言うことより、服薬管理が上手にできない。留守番ができなくなる。と言うことの方が重い判定となります。
そして、至極当たり前で身近である、排せつ、食事、着替えなどにミスや問題行動が起こることで、より重いランクへの検討を重ねていきます。


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