認知症高齢者を詐欺から守る

高齢者を狙った詐欺の手口は年々巧妙になっており、中でも認知症高齢者は認知機能の低下によって、被害に遭いやすいと言われています。被害者にならないために、高齢者詐欺の実態や、対策についてご説明します。

高齢者詐欺被害の実態

高齢者が被害に遭いやすい「特殊詐欺」

対面せずに電話やFAX、メールを使って行われる詐欺を「特殊詐欺」といい、多くの高齢者が被害に遭っています。

令和2年1月1日より警視庁¹⁾では、特殊詐欺の手口を以下の10種類に分類しました。

①オレオレ詐欺

親族等を名乗り、「鞄を置き忘れた。小切手が入っていた。お金が必要だ」などと言って、現金をだまし取る(脅し取る)手口です。

②預貯金詐欺

警察官、銀行協会職員等を名乗り、「あなたの口座が犯罪に利用されています。キャッシュカードの交換手続きが必要です」と言ったり、役所の職員等を名乗り、「医療費などの過払い金があります。こちらで手続きをするのでカードを取りに行きます」などと言って、暗証番号を聞き出しキャッシュカード等をだまし取る(脅し取る)手口です。

③料金請求詐欺

有料サイトや消費料金等について、「未払いの料金があります。今日中に払わなければ裁判になります」などとメールやハガキ(封書)で知らせ、金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

④還付金詐欺

医療費、税金、保険料等について、「還付金があるので手続きしてください」などと言って、被害者にATMを操作させ、被害者の口座から犯人の口座に送金させる手口です。

⑤融資保証金詐欺

実際には融資しないのに、簡単に融資が受けられると信じ込ませ、融資を申し込んできた人に対し、「保証金が必要です」などと言って金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

⑥金融商品詐欺

価値が全くない未公開株や高価な物品等について嘘の情報を教えて、購入すればもうかると信じ込ませ、その購入代金として金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

⑦ギャンブル詐欺

「パチンコ打ち子募集」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけ、会員登録等を申し込んできた人に、登録料や情報料として支払わせて金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

⑧交際あっせん詐欺

「女性紹介」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけ、女性の紹介を申し込んできた人に、会員登録料金や保証金として金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。

⑨その他の特殊詐欺

上記の類型に該当しない特殊詐欺のことをいいます。

⑩キャッシュカード詐欺盗(窃盗)

警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を名乗り、「キャッシュカードが不正に利用されているので使えないようにする」などと言って、隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る手口です。

認知症高齢者の被害が多い「訪問販売」

販売購入型の被害が多く、不必要なリフォームの勧誘や訪問販売に関する相談は、高齢者全体より大きな割合を占めています。

認知症高齢者の場合、判断力が低下しますので、悪質な勧誘などに遭っても良し悪しの判断がつかず、誘導されるままお金を支払ってしまうことも多いようです。

また、認知症の症状により、詐欺師を自分の家族など信頼する人物と思い込み、被害につながるケースもあります。

加えて、一人暮らしの高齢者も多く、孤独感につけこみ、言葉巧みに騙す悪質な事件もあります。

認知症高齢者を詐欺から守るには

こまめに様子を確認する

離れて暮らしている場合、気づかないうちに詐欺に遭い、どんどん被害が拡大していた、というケースも少なくありません。未然に防ぐには、日頃からこまめに電話や訪問で様子を伺い、異変に気づいたらすぐに確認するようにしましょう。

電話は留守番電話に

家族が不在の場合や一人暮らしの場合、電話は相手を確認してから出ることもできる、留守番電話にしておくのがよいでしょう。

成年後見制度を利用する

判断能力が不十分である場合、成年後見制度の利用を申し立てることができます。

成年後見制度では、判断能力に応じて、補助、保佐、後見などの制度が利用出来ます。一人暮らしで身寄りのない認知症の方でも、弁護士など裁判所から一番ふさわしいと判断された成年後見人がつくことになります。

詐欺に遭ってしまったら

気づいた時点で警察に通報しましょう。また、消費者センターなど相談できる窓口もありますので、ご利用ください。

万が一の場合の相談窓口

以下のような窓口が用意されています。何かあった場合には相談してみましょう。


参考文献:1)警視庁 特殊詐欺とは(2020年3月2日アクセス)


このページの
上へ戻る