認知症高齢者を詐欺から守る

高齢者を狙った詐欺の手口は年々巧妙になっており、中でも認知症高齢者は認知機能の低下によって、被害に遭いやすいと言われています。詐欺の被害者にならないために、高齢者詐欺の実態や、対策について知っておきましょう。

この記事の目次
  1. 高齢者詐欺被害の実態
  2. 高齢者が被害に遭いやすい「特殊詐欺」
  3. 認知症の被害が多い「訪問販売」
  4. 認知症高齢者が抱えるリスク
  5. 判断力や理解力の低下
  6. 孤独感
  7. 認知症高齢者を詐欺から守るには
  8. 振り込め詐欺にあったら警察と金融機関に連絡
  9. 公的機関の情報サイトを参考にする
  10. 今家族ができること
  11. 詐欺に遭ってしまったら

高齢者詐欺被害の実態

高齢者が被害に遭いやすい「特殊詐欺」

振り込め詐欺など、対面せずに電話やFAX、メールを使って行われる詐欺を「特殊詐欺」といい、多くの高齢者が被害に遭っています。特殊詐欺には主に以下のような種類がありますが、オレオレ詐欺はその中でも6割以上の認知件数を占めており、被害額の72%がオレオレ詐欺によるものです。

●オレオレ詐欺
●還付金詐欺
●架空請求詐欺
●融資保証金詐欺
●金融商品等取引

2018年に発表された警視庁の調査によると、被害者の75%が70歳以上の高齢者で、男女別では79%が女性という結果が出ています。

※出所:警視庁「平成29年における特殊詐欺の状況について」

認知症の被害が多い「訪問販売」

2014年度の調査結果によると、周囲の見守りが必要な認知症などの高齢者に関する相談も増加傾向にあります。販売購入型の被害が多く、不必要なリフォームの勧誘や訪問販売に関する相談は、高齢者全体より大きな割合*を占めています。

※出所:消費者庁 2016年消費者生活相談の概要

消費者庁「平成27年版 消費者白書」第3章より認知症ねっと編集部作成

※出所:内閣府 消費者委員会「高齢者の消費者被害の実態について」

認知症高齢者が抱えるリスク

判断力や理解力の低下

認知症では判断力が低下しますので、悪質な勧誘などに遭っても良し悪しの判断がつかず、誘導されるままお金を支払ってしまうことも多いようです。

すでにお金の管理が難しくなっている場合も多く、被害に遭いやすいと言えるでしょう。詐欺でなくとも不必要な高額な買い物をするなど、普段から生活費が管理できない場合は、詐欺に遭うリスクも高くなります。

また、認知症の症状により、詐欺師を自分の家族など信頼する人物と思い込み、被害につながるケースもあります。


孤独感

ひと昔前と比べ、現在は地域コミュ二ティなどの繋がりが希薄になったと言われています。加えて、一人暮らしの高齢者も多く、孤独感を感じながら暮らす方も多く見られます。そんな孤独感につけこみ、言葉巧みに騙す悪質な事件が多発しているのです。

「親切にしてくれた」「話し相手になってくれた」ことで被害者意識を持てず、詐欺被害が顕在化していないケースもあり、実際の統計よりも更に多くの被害者が存在すると考えられています。

認知症高齢者を詐欺から守るには

振り込め詐欺にあったら警察と金融機関に連絡

認知症高齢者は、一般の高齢者よりも詐欺やトラブルに遭っているという認識が低いため、周囲の気づきや見守りが重要です。家族に認知症の方がいない場合でも、地域で見守る意識も大切なので、トラブルや被害拡大防止のポイントを押さえておきましょう。

公的機関の情報サイトを参考にする

高齢者を狙った詐欺が社会問題となっており、政府や警視庁などの公的機関も、防止策を広く一般に呼びかけています。また、認知症に関しては、新オレンジプランの「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」の中で「詐欺など消費者被害の防止等を、省庁横断的に推進」を掲げています。

以下のようなサイトもありますので、日頃から気をつけるべきことなどを確認しておきましょう


今家族ができること

こまめに様子を確認する

離れて暮らしている場合、気づかないうちに詐欺に遭い、どんどん被害が拡大していた、というケースも少なくありません。未然に防ぐには、日頃からこまめに電話や訪問で様子を伺い、異変に気づいたらすぐに確認するようにしましょう。

約束事は紙に書いて電話のそばに貼っておく

詐欺防止策として「家族の約束事や合言葉を決めておく」ということがよく言われていますが、認知症の場合、約束事や合言葉自体を忘れてしまうため、約束事を決めておいても役に立たない可能性があります。

しかし、必要なことを電話口のそばに貼っておくと、一つの判断材料となることもあり、有効です。いざという時の合言葉のほか、「家族の電話番号」「息子の勤務先」「嫁の旧姓」「ペットの名前」「孫の学校名」など書き出しておくと良いでしょう。

電話は留守番電話に

家族が不在の場合や一人暮らしの場合、電話は相手を確認してから出ることもできる、留守番電話にしておくのがよいでしょう。

最近は、振込詐欺対策のメッセージが流れる固定電話もありますが、あらかじめ留守番電話のメッセージに「不審な電話は警察へ通報します。発信音の後にお名前とご用件をお話しください」という内容を入れておくのも効果的です。

玄関口には出ない習慣をつける

前述のように、認知症では特に訪問販売の被害が目立ちます。ある程度症状が軽く、判断力がある場合でも、行政や警察など身分を偽って信用させるケースもありますので、一番の予防は1人でいるときに玄関口に出ないことです。

インターホンで相手の姿が見えていても、詐欺か否かの判断は難しいため、家族が認知症の方を残して家を留守にする場合は、インターホンを切るのも対策の1つです。一人暮らしの場合は、ヘルパーなどを利用し、なるべく1人にしないようにしましょう。1人になる時間は、同じようにインターホンを切るなどの対策が必要です。

ATMの利用限度額を下げる

万が一の時に被害を最小限に止めるため、ATMの利用限度額を、必要最低限に引き下げておきましょう。詐欺に遭ったことに気づかないまま、限度額引き上げの相談などを窓口でした場合は、金融機関が不振に思って確認しますので、抑止力にもなります。

詳しくはご利用の金融機関へお問い合わせください。

成年後見制度を利用する

判断能力が不十分である場合、成年後見制度の利用を申し立てることができます。

成年後見制度では、判断能力に応じて、補助、保佐、後見などの制度が利用出来ます。一人暮らしで身寄りのない認知症の方でも、弁護士など裁判所から一番ふさわしいと判断された成年後見人がつくことになります。


詐欺に遭ってしまったら

まずは気づいた時点で警察に通報しましょう。また、消費者センターなど相談できる窓口もありますので、ご利用ください。

振込め詐欺の場合は金融機関に連絡

口座凍結などの措置が必要となるため、すぐに金融機関に連絡をしましょう。振込に関わる犯罪については「振り込め詐欺救済法」という法律が2008年から施行されています。オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺のほか、ヤミ金融や未公開株式購入にかかわる詐欺については、振り込んだお金が戻ってくる場合があります。申請が必要となりますので、詳しくは以下をご確認ください。


物品購入や契約は8日以内にクーリングオフ

消費者はクーリングオフ制度により、契約から8日以内(20日の場合もあり)に申請することで、申し込みの撤回・契約の解除をすることができます。特に契約車の判断能力が低下していることが認められた場合、特に成年後見制度を利用している場合には、スムーズに解除できます。

クーリングオフは業者との契約書に書かれていなくとも、適応される場合が多いので、諦めずに申請しましょう。クーリングオフは書面で行うことが定められていますので、内容証明郵便を利用するのが確実な方法です。

クーリングオフ期間が過ぎてしまった場合は、消費者生活センターや弁護士への相談をお勧めします。

万が一の場合の相談窓口

以下のような窓口が用意されています。何かあった場合には相談してみましょう。



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