東大、慢性脳虚血がアルツハイマー病を加速させる機構を解明

2019年3月10日

生活習慣病の管理がアルツハイマー病に有用

東京大学医学部附属病院神経内科の坂内太郎登録研究員、間野達雄助教、岩田淳講師らは、高血圧や糖尿病による動脈硬化が慢性的な脳血流低下(慢性脳低灌流)を引き起こし、高齢者のアルツハイマー病を加速するメカニズムを明らかにしました。

アルツハイマー病の患者を対象とした観察研究から、動脈硬化による慢性的な脳血流の低下(慢性脳低灌流)が、アルツハイマー病の症状を進行させることが知られていました。特に、慢性脳低灌流は、病状に大きくかかわる物質であるアミロイドβによって構成された老人斑の形成も促進することが分かっていましたが、その詳細な機構は不明でした。

そこで、アルツハイマー病のモデルマウスに対して持続的に脳血流の低下を生じさせる処置を施し、脳内のアミロイドβの状態がどのように変化するかを検討しました。処置を受けたマウスでは、より大きな老人斑がみられるようになりましたが、Aβの総量は変わりませんでした。

アミロイドβにはお互いにくっつきやすい性質があります。処置を行ったマウスの脳でも、もともとばらばらに存在していたアミロイドβ分子が集まって、より毒性の高い高分子量アミロイドβオリゴマーを形成していることが判明しました。

これは、慢性脳低灌流によって脳の細胞と細胞の間を流れる間質液の動きがゆっくりになった結果、よどんだ間質液の中でAβ同士がよりくっつきやすくなってしまうことが原因であると考えられます。本研究成果は、アルツハイマー病の進行を遅らせるために、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の管理をすることが有用であることを示唆していると考えられます。

詳しい内容は下記外部リンクよりご覧下さい。

(画像はイメージです)

▼外部リンク
東大、慢性の脳虚血がアルツハイマー病を加速させるメカニズムを解明


このページの
上へ戻る