コーヒーがアルツハイマー病発症の予防につながることを調べた研究

2019年1月7日

皆さんは紅茶派、それともコーヒー派でしょうか? 最近の論文によると、コーヒーと紅茶どちらをより好むかは、苦みの感じ方に関わる遺伝子の違いによるものだそうです。どちらもカフェインを多く含む飲みものですが、認知症の予防にはコーヒーのほうが、効き目があるようです。

今回は、コーヒーの認知症予防効果について調べた論文をご紹介します。

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認知症ねっとACADEMICS
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 焙煎方法によって認知症予防効果が異なる
  2. カフェインには予防効果はない?
  3. コーヒーの飲みすぎにはくれぐれもご注意を

焙煎方法によって認知症予防効果が異なる

コーヒーの認知症予防効果を調べる研究はこれまでも何度か行われており、そのうちのいくつかでは、予防効果があるという報告がされています。しかし、そのメカニズムについて、詳しいことはわかっていません。この度、カナダのトロント大学の研究チームは、アミロイドβ、およびタウタンパク質の蓄積にコーヒーが与える影響について調べる研究を行いました。

コーヒーの焙煎(ロースト)とは、生のコーヒー豆を火で煎ることです。焙煎にはいくつか段階があり、焙煎の違いによってコーヒーの味も変わります。研究チームは最も焙煎時間の短い「ライトロースト」、そして焙煎時間の長い「ダークロースト」、さらにカフェインを含まない「デカフェ」のダークローストの3種類について調べました。

アルツハイマー型認知症の患者さんの脳には、「アミロイドβ」や「タウ」と呼ばれるタンパク質の蓄積、凝集が観察されます。アミロイドβやタウは健康な人の脳にもありますが、なんらかの原因で蓄積されると、繊維状になって神経細胞の働きを妨げてしまいます。研究チームは、焙煎方法の異なるコーヒーそれぞれについて、アミロイドβやタウの凝集を妨げる効果を調べました。

実験の結果、3種類の焙煎方法の異なるコーヒーすべてに、アミロイドβの凝集を妨げる効果があることが分かりました。コーヒーの濃度が高くなるほど、その効果は高いことが確認できました。また、ダークローストのほうが、ライトローストよりも効果が高いことも分かりました。

これに対し、タウタンパク質の凝集を妨げる効果を調べると、どの焙煎のコーヒーでも濃度が高い場合にのみ、予防効果がありました。焙煎方法の違いは、タウタンパク質の凝集予防の効果とは、あまり関係がありませんでした。

カフェインには予防効果はない?

次に、研究チームはコーヒーに含まれる6つの成分について、アミロイドβやタウの凝集に与える影響を調べました。実験の結果、驚いたことにカフェインにはアミロイドβやタウの凝集を妨げる効果は確認できませんでした。これに対し、「フェニリンダン(phenylindane)」という成分は、アミロイドβ、およびタウタンパク質の凝集を妨げる効果があることが分かりました。

フェニリンダンはライトローストの豆よりも、ダークローストのほうに多く含まれるそうです。そのため、ダークローストのほうがアミロイドβの凝集を妨げる効果が高いのは、この成分を多く含むことも一因であると考えられます。

以上の結果から、コーヒーにはアミロイドβ、およびタウタンパク質の凝集を妨げる効果があり、また、ライトローストよりもダークローストのほうがその効果が高いことがわかりました。さらに、コーヒーに含まれる各成分について調べたところ、ダークローストに多く含まれる「フェニリンダン」という成分は、アミロイドβとタウタンパク質の凝集を妨げる効果があることが分かりました。カフェインにはこのような効果は見られませんでした。

コーヒーの飲みすぎにはくれぐれもご注意を

コーヒーの効能といえば、覚醒効果を思い浮かべる方も多いでしょう。コーヒーに多く含まれるカフェインは、眠気をうながす成分に形が似ていることから、眠りに導く神経の信号伝達を妨げ、脳を覚醒させてしまいます。今回ご紹介した研究では、カフェインそのものには、アミロイドβやタウタンパク質が溜まるのを防ぐ効果は見られませんでした。アルツハイマー病の予防効果があるといっても、コーヒーの飲みすぎは睡眠を妨げる原因にもなりますから、くれぐれも適量を心がけましょう。

▼ご紹介した論文
Phenylindanes in Brewed Coffee Inhibit Amyloid-Beta and Tau Aggregation.
Mancini RS et al. Front Neurosci. 2018 Oct 12;12:735.


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