定期的に長く運動を継続することが、高齢者の認知機能改善に効く

2018年11月22日

運動が健康のために良いとはわかっていても、そもそも運動がお好きでない方は、その明確な効果がわからないと始める気にさえならないでしょう。

今回は、どの程度の運動が認知機能の改善に効くのかを調べた論文をご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっとACADEMICS
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 運動と認知機能改善の関係を調べた研究のメタアナリシス
  2. 週に何時間行うかではなく、長期に続けることに意味がある
  3. 運動を日常生活に取り入れる工夫を

運動と認知機能改善の関係を調べた研究のメタアナリシス

運動は体力を維持するだけではなく認知機能にも効果があることは、このサイトでも繰り返しご紹介しています。しかし、実際にどのくらいの運動をどれくらい行えば最も効果的なのでしょうか?

この度アメリカの研究チームが、運動と認知機能の関係を調べた多くの研究結果を統合して解析を行い、その結果を総合的に判断する「メタアナリシス」を行いました。論文データベースから、「運動」「認知機能」「高齢者」などのキーワードを含む論文を検索し、その中から「ランダム化比較試験」とよばれる、信頼性の高い方法によって行われた研究のみを選び出しました。その結果、4612本の関連論文の中から98本の論文を解析対象としています。この98の研究に参加した被験者の数を全てあわせると、11061人になりました。

被験者の平均年齢は約73歳で、59.41パーセントは健康、25.74パーセントは軽度認知障害、14.85パーセントは認知症と診断された人でした。半分以上の人々は、研究に参加する以前には運動習慣はなく、研究の中で調べられた運動で多かったのは「ウォーキング」でした。「自転車」、「ダンス」や「筋トレ」、「太極拳」や「ヨガ」などがこれに続いています。

週に何時間行うかではなく、長期に続けることに意味がある

研究グループは98の研究の結果を総合的に判断して、どのような運動条件が認知機能の改善に結びつきやすいかを調べました。ほとんどの研究が、1時間の運動を週に3回程度、約6カ月以上行うものです。解析の結果、1度に行う運動の時間や強度、また週に行う運動の回数と、認知機能の改善にはあまり関係はありませんでした。

認知機能の改善との相関が最も強く表れたのは「運動を続ける期間」でした。トータルで運動を「52時間以上」行っている人たちは、「52時間」以下しか行わなかった人たちよりも、認知機能の改善の度合いが有意に高いことがわかりました。

以上の結果から、定期的な運動を長期にわたって行うことが、高齢者の認知機能の改善につながる可能性が示されたと言えます。

運動を日常生活に取り入れる工夫を

今回ご紹介した論文にもあったように、認知機能を健康に保つには、運動を習慣的に継続して行うほうが良いようです。運動をすることを億劫に感じる方は、まずは思い切って運動用のシューズやジャージなどを購入してみてはいかがでしょう。普段身につけないものを着たりすると、生まれ変わったような気分で積極的に取り組めるかもしれません。

また、「週に何回、何分以上行わなければ…」と気負いすぎると、ますます運動から遠ざかる原因にもなります。疲れている時や気が乗らないときは思い切ってお休みにして、お天気がいい日や気分がいい日には少し長く散歩するなど、日常生活の中でできることから始めてみると良いのではないでしょうか。

▼ご紹介した論文
Exercise for cognitive brain health in aging: A systematic review for an evaluation of dose.
Gomes-Osman J et al., Neurol Clin Pract. 2018 Jun;8(3):257-265.


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