楽しく認知症予防! 認知症リスクを下げるアクティビティとは?

2018年7月20日

40代、50代から積極的に取り組めば、認知症は効果的に予防できると期待されています。認知症予防には正しい食生活や運動習慣に加えて、他人とのコミュニケーションや趣味を持つと効果があるとされています。一口に趣味と言っても、スポーツや読書、楽器や手芸などさまざまなジャンルがあります。
今回ご紹介するのは、いろいろなアクティビティの認知症発症リスクへの効果を調べた研究です。

この記事の執筆
認知症ねっとACADEMICS
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 頭を使うものがいいのか? 体を動かすほうがいいのか?
  2. 楽しく気長に続けてみよう

頭を使うものがいいのか? 体を動かすほうがいいのか?

趣味で楽しむアクティビティには、散歩やスポーツなど体を動かすものもあれば、読書やゲームなど室内で行うものもあります。もし趣味のアクティビティに認知症の予防効果があるならば、楽しみながら続けやすいため、まさに一石二鳥でしょう。

アメリカの研究チームは、高齢者が日常行っている活動と、認知症の発症リスクとの関係を調べる研究を行いました。研究開始時点で75歳から85歳までの健康な469人について、さまざまなアクティビティを行う頻度を調べ、長期間にわたって認知症発症との相関を調べました。

室内で行うものとして調査したアクティビティは、トランプなどのカードやチェスなどのボードゲーム、新聞を含む読書、楽器の演奏、クロスワードパズル、書き物、グループディスカッションへの参加です。さらに体を動かすものとして、ダンス、家事、ウォーキング、階段を昇る、自転車、水泳、ボーリングなどチームで行うスポーツ、グループで行うエクササイズ、子守りです。家事や子守りは趣味やレジャーとは言えませんが、日課にしている人も多く、その効果は気になるところです。次に、これらの活動をどれくらいの頻度で行っているかを回答してもらいました。定期的に頻度の報告や、認知能力や体力の測定を行いました。

調査は実に21年にもおよぶ長期にわたって行われました。1人に対する調査期間の中央値は5.1年です。調査期間中に認知症を発症したのは124人です。そのうち61人がアルツハイマー型認知症、30人が脳血管性認知症、さらに混合型が25人、その他のタイプの認知症が8人でした。

解析の結果、認知症の発症リスクを下げる効果が大きいと認められたアクティビティは、カードやボードゲーム、楽器の演奏、ダンスでした。例えば、週に一度以下しかボードゲームをしない人が認知症を発症するリスクを1とすると、週に数回ボードゲームをする人は0.26という結果が得られました。また、稀にしか楽器の演奏をしない人が発症するリスクを1とすると、頻繁に楽器を演奏する人は0.31でした。

また、いくつかの運動にも予防効果があることがわかりました。たとえば稀にしか水泳をしない人が発症するリスクを1とすると、頻繁に水泳をする人では0.71でした。さらにダンスでは0.24という結果が得られ、発症リスクを有意に下げる可能性が示されました。これらの傾向はアルツハイマー型認知症でも脳血管性認知症でも同じでした。また、アクティビティに参加する頻度が多い人ほど、記憶の衰えが少ないことも分かりました。

認知機能が必要と考えられるアクティビティの中でも、書き物は発症リスクへの効果は認められませんでした。また、必ずしも体を動かすほうが効果的というわけではなく、たとえば自転車は、頻繁に乗る人のほうが発症リスクは大きくなる傾向が見られました。ちなみに家事と子守りは、それぞれ約0.8という結果を示しており、認知症発症のリスクを下げる効果が期待できるようです。

以上のことから、読書や楽器の演奏、カードやボードゲーム、クロスワードパズル、ダンスやウォーキングは他のアクティビティと比べて、認知症の発症リスクを効果的に抑える可能性が示されました。

アクティビティ 認知症発症のしやすさ(ハザード比)
週に1回以下行う 週に数回行う
カードやボードゲーム 1 0.26
新聞や本を読む 1 0.65
楽器を演奏する 1 0.31
クロスワードパズル 1 0.59
書き物をする 1 1
グループディスカッション 1 1.06
ダンス 1 0.24
家事 1 0.88
ウォーキング 1 0.67
階段を昇る 1 1.55
自転車 1 2.09
水泳 1 0.71
テニスやゴルフなど 1 1.00
グループでエクササイズ 1 1.18
子守り 1 0.81

論文 Table2より抜粋

楽しく気長に続けてみよう

認知症リスクを下げる要因として、日々の趣味やレジャーについてご紹介しました。認知症の予防には人とのコミュニケーションが効果的ともいわれ、趣味などを通して人と関わることで、さらなる予防効果があるのかもしれません。今回挙げられなかったものでも、趣味となるようなアクティビティはたくさんあります。大切なことは義務感からではなく、積極的に楽しく行うことではないでしょうか。仕事ばかりで特に趣味を持たないという方には、高齢になっても気長に続けられるような趣味を、今のうちからいくつか見つけておくことをお勧めします。

▼ご紹介した論文
Leisure activities and the risk of dementia in the elderly.
Verghese J et al., N Engl J Med. 2003 Jun 19;348(25):2508-16.


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