腸内細菌とアルツハイマー病に関係があるってホント?

2018年3月23日

最近、「腸内細菌」や「腸内フローラ」という言葉をよく耳にするようになりました。腸内細菌は単にお腹の調子に関係しているだけではなく、肥満や糖尿病、免疫疾患 など、私たちの健康に広く関わっていることがわかりつつあります。脳の健康も例外ではなく、認知機能と腸内細菌との関係が指摘されています。
今回は、アルツハイマー型認知症と腸内細菌の関係について調べた論文をご紹介します。

この記事の執筆
認知症ねっとACADEMICS
認知症ねっと編集部
認知症ねっとACADEMICS
この記事の目次
  1. アルツハイマー病では腸内細菌のバランスが変わる
  2. バランスのとれた食生活で腸内細菌を整えましょう

アルツハイマー病では腸内細菌のバランスが変わる

私たちの腸には約100兆個もの細菌が住んでおり、その種類は100種類を超えるといわれます。細菌というと病気の原因になる悪いイメージがありますが、腸内細菌の中には健康維持に欠かせない菌も多く含まれています。生まれる前の赤ちゃんは腸内細菌を持っていませんが、産道でお母さんから細菌を受け継ぎます。その後、年齢とともに腸内細菌の種類や量は変化していきます。生まれたときは「アクチノバクテリア門」という種類の菌が多いですが、やがて「フィルミキュテス門」という種類の菌が多くを占めるようになります。60歳以降では、徐々に「バクテロイデテス門」の菌が増えてきます。

2017年にアメリカのウィスコンシン公衆衛生医科大学のボート博士らは、アルツハイマー型認知症と腸内細菌との関係について調べた論文を『サイエンティフィック・リポーツ』に発表しました。博士らは、アルツハイマー病患者25人(平均年齢71.3歳)から腸内細菌を採取してDNA解析を行い、どのような種類の菌をどれくらい持つかを調べました。対照群として、同世代の健康な25人の腸内細菌も調べました。解析の結果、アルツハイマー病の人では、健康な同世代の人よりも腸内細菌の多様性が乏しいことがわかりました。ただし、すべての種類の菌が一様に減るわけではなく、たとえばフィルミキュテス門やアクチノバクテリア門に属する菌は減るのに対し、バクテロイデス門に属する菌は、アルツハイマー病の人のほうが多いことがわかりました。

次に、アルツハイマー病で多く観察される「アミロイドβ」や「タウ」などのタンパク質と、腸内細菌との関係を調べたところ、バクテロイデテス門などの菌の量は、アミロイドβやタウタンパク質の量と相関があることが分かりました。

以上の結果から、アルツハイマー病患者の腸内細菌の組成は健康な人とは異なり、アルツハイマー病患者のほうが少なくなる菌種が多いものの、その反対に、多くなる菌種もあることがわかりました。このような腸内細菌のバランスの変化は、体調に少なからず影響を与えていると考えられます。また、特徴的に変化が見られる菌の量と、アミロイドβやタウなどアルツハイマー病の指標となるタンパク質の量には、相関があることもわかりました。

バランスのとれた食生活で腸内細菌を整えましょう

今回ご紹介した研究から、アルツハイマー病では腸内細菌の組成に特徴があることがわかりました。これがアルツハイマー病の発症に伴う現象なのか、それとも、腸内細菌の組成の変化そのものがアルツハイマー病の発症につながるのかは、今後の研究課題です。

加齢とともに腸内細菌の組成が変化する理由はよくわかっていません。加齢以外にもう一つ、腸内細菌の組成に大きく影響を与えるのが「食生活」です。ある研究によれば、肉類中心で、野菜など食物繊維の少ない食生活をおくっている人では、そうでない人に比べて、腸内細菌の多様性が乏しい傾向があるそうです。日ごろから食生活に気を配り、腸内細菌のバランスを整えることは、もっとも手軽にできる健康管理の一つだといえるでしょう。

▼ご紹介した論文
Gut microbiome alterations in Alzheimer’s disease.
Vogt NM et al., Sci Rep. 2017 Oct 19;7(1):13537.

このページの
上へ戻る