認知症当事者が医療関係者へ伝えたいこと①【第35回日本認知症学界学術集会】

2017年1月16日

2016年12月1日~3日、東京国際フォーラムで行われた「第35回日本認知症学界学術集会」。2日目の会長企画シンポジウムは『医療関係者へ伝えたいこと、期待したいこと』と題され、認知症当事者やその家族、支援者が登壇しました。

参加者の多くがドクターである学術集会で、直接想いを伝えるのは画期的な試み。 様々な方々が思いを語ってくださいました。生の声の一部をご紹介します。

最初のハードルは初診と検査

認知症の疑いをたとえ自覚していても、医療機関に受診するのは勇気が必要です。ましてや、本人に自覚がない場合、病院に行くどころか、周りの家族に心配されることさえつらいことでしょう。また、その場合、家族も病院受診を目指す高いハードルを抱えることになります。

「日本の社会には、認知症が”恥ずかしいもの”という偏見がある。周りが気づいても、本人が認められないのはプライドがあるから。偏見がなくなれば、受診につながるのではないか」

そんな思いを語った当事者家族がいらっしゃいました。 また、やっと受診にこぎつけても、検査の壁も大きいのです。長い検査や難しく感じるテストを最後まで行うのこと困難さを、実感された方も多いでしょう。

「精神的にも肉体的にも難しく、最後まで行えませんでした。最終的には”できないことをやらされている”という気持ちになったようで、検査を拒否したのです。もっと簡単に行えたり、本人に負担がかからない方法があったらありがたいです」


診断時のドクターの対応が「早期絶望」を防ぐ?

「もしかしたら」と思ってはいても、いざ認知症の診断を受けるのは、本人にとっても家族にとってもつらいこと。 「絶望で真っ暗になりました」と話す当事者の方もいらっしゃいました。

そんな時、まず最初に頼れるのは目の前のドクター。診断をしてくださった先生と、信頼関係を築くことを切望する声は特に大きくあがりました。

ドクターに対し「偉い人」という意識から萎縮する方も多く、まずは「質問できる雰囲気がほしい」とした上で、本人が混乱しないよう、ケアにつながる診察を求める方が多数いらっしゃいました。

「私の場合は告知時に『あなたは間もなく何もわからなくって寝たきりになりそすよ』と宣言され、診察室を出されました。 どのように生きていけばいいのか全く分からず、ただ暗黒の世界に放り出された気持ちでした。結果、絶望のあまり家の中に引きこもり、社会とのつながりもなく、日々衰えて死を待つのみという世界に入る人もいる。
私たちは何も知らないわけですから、最初の告知と同時に、社会的な制度や団体など、どんなことでも結構ですので、何かにつなげていただきたい。それが一番大きなお願いです」

親身な診察で本人も笑顔に

ドクターに対しては、もちろん要望だけではなく、感謝の声もあがっています。

「毎回診察室の外まで迎えに来てくれて、本人と目を合わせて『よくいらっしゃいましたね』とにっこりしてくださるので、いつもうつむきがちな本人もにっこり笑い返し、スムーズに診察が進みます。介護者である私のことも気遣って『ムリをせず身体に気をつけてくださいね』と声をかけてくださるので、診察のたびに安心します」

「親身になって話を聞いてくださり、受診時には心が休まります。初診の時から人格を尊重されていると感じられる対応で、いつも感謝しています」

当事者やそのご家族の要望で一番多かったのが「理解してほしい」「親身になってほしい」という願いでした。丁寧な説明やアドバイスひとつで、精神的に救われる人々が多くいることを、広く知らしめた企画となりました。


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